お子さんの肌が赤くじゅくじゅくし、痒がっているのをみると、なんとかしてあげたい、綺麗なお肌にしてあげたいと思いますね。
そして、「これはアトピー性皮膚炎?」と心配になりますね。
アトピー性皮膚炎とはどんな病気でしょうか。
また、どんなケアや治療をしてあげるのがよいでしょうか。
アトピー性皮膚炎とはどんな病気ですか?どんな症状ですか?
アトピー性皮膚炎とは、「アレルギー体質の人にできる、慢性の湿疹」のことです。
アトピー性皮膚炎の特徴
アトピー性皮膚炎の特徴は次のようなものです。
- 1:湿疹(皮膚が赤くなり、じゅくじゅくしたり、ぶつぶつができたり、皮がむけたり、かさぶたができたりする)
- 2:かゆみが強い。手でかいたり、赤ちゃんの場合は抱っこされた時に顔を胸にこすりつけたりする。
- 3:体の左右の同じような場所に湿疹ができる。
- 4:よくなったり悪くなったりを繰り返す。(慢性の経過)
年齢的な特徴
年齢的な特徴として以下が挙げられます。
1:乳児期
頭や顔にはじまり、次第に体や手足に降りていく傾向があります。
2:幼小児期
首や手足の関節に湿疹ができやすい傾向があります。
3:思春期・成人期
上半身(頭、首、胸、背中)の湿疹が目立ちます。
どうやって診断しますか?
上に挙げたような特徴的な症状に加えて、家族の中にアレルギー疾患(食物アレルギー、気管支喘息など)を持っている人がいるか、本人がこのような病気を持っているか、また血液検査でIgE抗体の値を参考にして診断します。
治療はどうしますか?
アトピー性皮膚炎の治療は、以下の3点が基本になります。
- 悪化因子の除去
- スキンケア
- 薬物療法
1:悪化因子の除去
悪化する原因として、環境にあるダニやホコリ、花粉、ペットの毛などがあります。
また汗、唾液、髪の毛、衣類の刺激で悪化することもあります。
環境を整えること、また汗や唾液はこまめにやさしく拭き取り、肌に触れるものは刺激の少ないものを選ぶことも大切です。
ストレスも悪化要因になります。
乳児では食べ物が関与する場合もありますが、きちんと診断され原因食物が特定されていない状態で除去をすると、お子さんの成長発達の妨げになることもありますので、正しく診断を受けたうえで、指導のもとに除去を行なってください。
2:スキンケア
皮膚を洗って清潔にし、保湿することで皮膚が整い、本来のバリア機能を取り戻すケアを行います。
お湯の温度を見直してみましょう
まず、入浴させるときは、お湯の温度を見直してみましょう。
あまり熱すぎるお湯は、肌を乾燥させたり、かゆみやほてりを増したりします。
優しく洗いましょう
次に、刺激の少ない石けんを泡だて、強く擦らずに手で優しく洗います。
細かいしわのところも含めて全身を丁寧に洗ったら、しっかりすすぎます。
すすぎが不十分で石けんの成分が残っていると、それが刺激になることがありますので、丁寧にすすいでください。
入浴後できるだけ早く保湿剤を塗ることが大切です
最後に、入浴後できるだけ早く保湿剤を全身に塗ります。
皮膚が乾いて乾燥する前、できれば5分以内に塗ってください。
手のひらに伸ばして全身が少し光るくらい、ティッシュがはりつくくらいしっかり塗ることが大切です。
皮膚を洗って必要な皮脂も流れていますので、しっかり保湿していきましょう。
こうすることで、皮膚のバリア機能がきちんと働くようになります。
保湿剤の種類や財形には様々なものがあり、お子さんの年齢、乾燥の程度、体の場所などにより適したものがありますので、受診して相談してみましょう。
3:薬物療法
スキンケアで皮膚を整えても、それだけでは皮膚の炎症を抑えるのは困難です。
保湿をしても湿疹が治らない場合は、炎症を抑える薬を使う必要があります。
炎症を抑える薬として、ステロイド外用薬(塗り薬)、タクロリムス外用薬、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬などがあります。
ステロイド外用薬と聞くと、「なんだか怖い」と不安を感じられることもあるかもしれません。
けれども、必要な量を正しく使うことで、十分な有効性と安全性が検証されていますので、医師の指導に従って安心して使用してください。
塗る範囲、塗る期間や減らし方などについても正しく指導を受けてください。
外用薬のほか、かゆみを抑えるための飲み薬などを併用することがあります。
まとめ
アトピー性皮膚炎は、適切な治療で症状がコントロールされた状態を続けると、症状がみられなくなること(寛解)が期待できる病気です。
そのために、日頃のスキンケア、治療について、まず医療機関でしっかり指導してもらい、おうちで実践できるように練習するとよいですね。
少し大きくなってきたお子さんには、手の届くところは保湿剤を自分で塗らせてあげて、スキンケアを自分でできるよう習慣づけてあげるのもよいと思います。