百日咳は、激しい咳が長く続く病気で、季節を問わず発症します。
大人が発症した場合は、苦しい咳が長く続くものの重症化はしませんが、小さなお子さんにとってはとても怖い病気です。
どういう症状ですか?
最初は普通のかぜのように、鼻水と軽い咳が出てきますが、だんだん咳がひどくなってきます。
スタッカートのようにコンコン、コンコンと短い間隔で連続する咳が長く続き、10秒以上続くことがあります。
そうなると、咳が続いて息ができないためとても苦しくなり、顔が真っ赤になります。
やっと咳が途切れた時、苦しそうに息を吸い込みます。
そのときにヒューという笛のような音が出ることがあります。
これが百日咳の特徴的な症状です。
乳幼児の場合にはまだまだ息を吸い込む力自体が弱く、笛のような音が聞こえない場合もあります。
3ヶ月以内の赤ちゃんの場合
3ヶ月以内の赤ちゃんの場合、長引く咳のあと、そのまま息が止まってしまうこともあります。
呼吸が止まる場合は人工呼吸が必要となり、命を落とすこともあります。
血液中の酸素が減ってけいれんを起こしたり、後遺症を残すこともあります。
また、肺炎を起こすこともあります。
たとえ抗菌薬で適切な治療をしても、咳が完全に治るまで2~3ヶ月はかかります。
これが百日咳と言われる理由です。
原因は何ですか?
百日咳菌という細菌に感染することによって発症します。
感染力は大変強く、主に咳やくしゃみなどの飛沫によって感染します。
大人がかかっても亡くなることはありませんが、感染している大人から赤ちゃんにうつすことがあります。
赤ちゃんが産まれる時にお母さんからもらう免疫が弱いため、新生児でもかかることがあります。
どうやって診断しますか?
菌を採取して培養する検査、血液検査で抗体を確認する検査などがあります。
2016年から百日咳菌の検査キットが保険適応になっています。
治療はどうしますか?
百日咳菌に対して抗菌薬を処方します。
しかし、最初の軽い症状をこえて典型的な咳が出るようになってからは、抗菌薬で除菌しても咳自体を止めることはできません。
咳をなだめる薬などを使いますが、完全に抑えることは困難です。
そのため、治療よりも、百日咳にかからないようワクチンで予防をするのが大切です。
どうしたら予防できますか?
百日咳に有効な4種(ジフテリア、破傷風、百日咳、不活化ポリオ)混合ワクチンがあります。
現在は3ヶ月から接種できるようになっています。
初回免疫を3回接種し、追加免疫まで受ければ、5~10年ほど持続する免疫効果を与えてくれるものです。
ただし、接種から時間が経つと免疫が弱くなっていくため、任意接種として就学前(年長の年、麻疹風疹ワクチン2期と同時期)に3種(ジフテリア、破傷風、百日咳)混合ワクチンを受けることもできます。
さらに、小学6年の年に定期接種として接種する2種(ジフテリア、破傷風)混合ワクチンには百日咳が含まれていないことから、任意接種として3種混合ワクチンを受けることもできます。
いつから登園・登校できる?
百日咳にかかった場合は、「特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌薬療法が終了するまで」出席停止になっています。