RSウイルス感染症は、主に秋から冬、春先に流行する子どもに一般的な気道感染症で、ほぼすべての子が4歳になるまでに感染し、1歳までに約半数の方が感染しています。
一度感染しても完全な免疫が得られるわけではなく、繰り返し感染します。
年長児はもちろん、成人や高齢者がかかることもあります。
どんな症状ですか?
- 鼻水、せきや痰が出てきて、だんだんひどくなる
- 高熱が出ることもあり、すぐに下がらずに熱が長引く
- 食欲が落ち、元気がなくなることが多く、「しんどそう」になる
- 下痢が起こることもある
- 小さい子どもの場合、気管支喘息のようにぜいぜいする「喘鳴」が起こることがある(細気管支炎)
- 肺炎や中耳炎などを起こすことがある
細気管支炎になった場合、のちに気管支喘息の症状が出ることがあります。
とくに重症化するリスクが高いのは、もともと先天性心疾患などの病気がある子ども、早産、生後3ヶ月未満でRSウイルスにかかった子どもです。
一般的に、小さい子どもほど重症化しやすく、年長児は咳や鼻汁の多い、ややしつこい風邪で終わることが多くなります。
原因は?
RSウイルスに感染して発症します。
多くの呼吸器感染症と同じように、飛沫感染、また接触感染によって感染します。
また、近年、ヒトメタニューモウイルス感染症が診断されるようになってきました。
これはRSウイルスと引き起こす症状は似ていますが、別のウイルスです。
治療はどうしますか?
RSウイルスを直接おさえる特効薬はありません。
多くのウイルス感染症と同じように、安静にし、症状を和らげる薬を使って回復を待ちます。
鼻水、痰が多く出ますので、痰きりの薬を使いながら鼻水を吸引してあげると、鼻詰まりが楽になります。
せきがひどくなり、呼吸がつらくなると、体に酸素を取り込みにくくなることがあります。
このような時は、酸素を投与する必要があります。
また、RSウイルスにかかると、体がとてもつらくなり、食欲も落ちて水分も取れなくなることがあります。
必要な水分を口からとることができなくなると、おしっこが減り、泣いても涙が出なくなるなどの脱水症を起こすことがあります。
このようなときは点滴が必要になります。
おうちでできる治療
おうちでは、こまめに鼻水を吸ってあげたり、部屋を加湿してあげたりするほか、消化の良い食べ物を食べさせ、水分を少しずつでも良いのでこまめに飲ませてあげてください。
また、酸素を投与したり、点滴をしたりするのは、おうちではできない治療になりますので、受診して治療を受けるか、場合によっては入院が必要になります。
気をつけるべき症状は?
- せきがひどく、胸の動きがおかしい、息がせかせかしている
- おしっこが少なく、泣いても涙が出ない
- 耳を痛がる
予防する方法はありますか?
RSウイルスは感染力が大変強いウイルスですので、飛沫感染、接触感染を防ぐためにこまめに手洗いをすることが大切です。
とくに小さい赤ちゃんのそばには近づけない方がよいでしょう。
今のところ、RSウイルスに対するワクチンはありません。
重症化するリスクの高い子を対象に投与する注射薬がありますが、投与できる対象は決まっています。
登園はいつからできますか?
RSウイルス感染症については、インフルエンザのように何日間の自宅安静が必要かは定められていませんが、症状が回復するおおよその目安として、以下の条件を満たしていれば登園できると考えて良いと思います。
- 熱が下がっていること(=熱が下がってから24時間以上たっていること)
- 眠りを妨げるようなつらそうな咳がおさまっていること
- 食欲が落ちていた場合、いつも通りに食べて元気になっていること
登園ができるようになっても、軽いせきや鼻水は残っていることが多いので、せきエチケットや鼻水をこまめに取り除くようにしましょう。
また、耳を痛がる様子はないか、気をつけて様子を見てあげましょう。